みぎみみ/灰泥軽茶
 
ある寒い朝雑木林を歩いていると
桃色の温もりがありそうな耳が一つ落ちていた
自分の耳じゃなかろうかと
両手でそれぞれ触ると
ぽろりぽろりと落ちてしまった

あれれこれはいかんぞとすばやく手にとると
右耳が二つ
はてどちらがどちらやらわからず
耳たぶの感触を確かめてみてもわからず
とりあえず一つつけてみて
もう一つはポケットに入れ持ち帰った

しばらくはなんともなく過ごしていたが
ある日電車から降りて改札口を通ろうとしたところ
 
ティン ティリ 
ティリン ティン
ティリ ティリ 
ティリン ティン

右耳奥の方から
なにやらおもちゃの鉄琴のような音が聴
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