冬将軍/千波 一也
 

すれ違う言葉に
疲れてしまうことが
疲れ、の原因


ひとの心を気遣うはずが
我が身がもっとも大切だから
我が身のつぎに
うまく他人を愛せないか、と
右往左往で今日が行く


冬将軍は厳しくて
疲れたわたしを
心底冷やす

だけど、ね
もれなくわたしを
忘れずわたしを
冷ますなら
ある意味、紳士じゃないかしら


必要のない春はない
必要のない秋もない
ならば冬とて同じこと

寒さにうらみを言いながら
寒さに弱音を吐きながら
わたしを見捨てぬ将軍さまに
感謝をするのも
悪くない


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