扉/HAL
まだ自分は一人前だと云う
底の浅い知恵しか持っていなかった頃
周りには幾つもの扉があった
そしてぼくの手にはその扉をあける
すべての鍵が与えられていた
微かに自分は未熟なんだと云う
やや幼稚だけど知恵がついた頃
周りには数は多いが数えられる扉があった
そしてぼくの手にはその扉をあける
数えられる鍵が与えられていた
少しは知恵らしきものがあると想った頃
周りにはあった扉は手の指で数えられる扉があった
そしてぼくの手にはその扉をあける
わずかな数の鍵が与えられていた
そして世界が無秩序で不条理だと感じた頃
周りには二枚の扉があった
そしてぼくの手にはその
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