墓について/salco
猫にはどうも墓らしい墓が無い
勝手気ままな性分の
自由に増えすぎる
高貴な浮浪者達の少なからずは
舗装道路の真ん中や端っこに飛ばされて
舌と腸を出していたり
ゴミ捨て場の家電の上で腐っていたり
これほど優美な肢体と傲岸不遜
この世ならぬ翡翠色の千里眼さえも
果たしてファラオが全滅した事や
中世の裁判と何か関係があるのか
贔屓の条件にはならぬらしい
せっかくニャー*と言っているのに
鶏、豚や牛など家畜の墓は二つある
資本のかかった屠殺場と
人間の口から肛門に至る消化器官
すると私は実に
何頭かの牛、何十頭かの豚
何百羽もの鶏の生きた墓標な訳だ
こうして
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