問いかけ/HAL
私は沈黙と一度話してみたいと想っている
沈黙は一体どんな声で話すだろうかに
興味を覚えるのがひとつの理由であるが
それ以上に沈黙を必要とした
数多の蜂起や謀略や反逆の
密談が為された時
そこに集まった少数のひとびとが
黙り込むを得なかった事柄を知りたいのだ
確かに饒舌は沈黙に対して銀と呼ばれるが
饒舌過ぎるもののなかには
その多弁性によって隠微されようとする
巧妙な罠も存在することを
私はすでに知ってしまっている
それは少しの知能を遣えば
紐解けるものが殆どであるが
沈黙を必要とした謀議は
つねに永遠のなかに
封じ込められてしまっている
そこから
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)