イネムリ/灰泥軽茶
 
それはほんの三十分たらず

目が覚めると

私は誰なのか

四角い部屋はどこに位置しているのか

細胞が弾けたような

生まれ変わったような

今まで必死に詰め込んできたものが

淡くも崩れ消え去り

もしや人形はこのように世界を眺めているのだろうかと

はっとしてみたりしていると

ポカンと開いた口から小さなシャボン玉が

一つ二つ出てきて

弾けては記憶が蘇り

弾けては

あぁいつもの天井なのかと思い出し

身体は軽く

心の残像はスキップを繰り返し

さて珈琲でも入れようかと起き上がる

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