シーズナル・フィロソフィ/桐原 真
 
秒針が地球儀のようなものを一周すると、
あなたは
いたずらに、ひとりごとを歌った

残像になった月曜日を憂うよりはやく、
空は、当たり前のように青みを誘って
駆け抜けてしまった





目が覚めるといつも
ちいさな檸檬が、床に佇んでいるよう

(フローリング
つつましい冷温
のびやかな憧憬
でも、西へと霞む朝日の儚さの方が)

昨日の面影はない

昨日や明日の概念がない日だまり
日の出と日没という永遠のなかで
わたしは
ちいさくちいさく、ひとりごとを歌う





平然と、
ひとりごとを一緒に歌った日々は
空白の日付となって
[次のページ]
戻る   Point(11)