ワン・タイム/砂木
無限の時から逃れるために
大型店から 時計を買う
腕につけたら タイム・サービス
すべりこむ キャッシュ ワン・コイン
仮眠しかとれないんだよ
にっこり 煮込んだ 憎しみ
すすりあきたら モクギョウ
盛大に叩いて
裸足の足跡って コンクリートにつくと思うかい
残したいなら 立ち尽くすしかないよね
雨の中 雪の夜 風の邪魔をして
柱の影に 隠した べにの匂い
つららから ぽたりと
のぼせて揺れ
ピピピ と お知らせされて人に戻るよ
溶けるのも ふけるのも
後で 好きなだけできる
でも 今は ここで
ここに このまま
見上げて お時間いただけますか
私へのサービス・タイム
安い時計でも 見飽きてもいられない
戻る 編 削 Point(10)