アルストロメリア/
古代 透
花がやわらかに息を吐き
夜明けの雨に凍えても
時は鳴りやまない
まつ毛のさきにふれる空は透けて
彗星のように種が流れていく
肌にすべる水滴にくちづけ
花びらを射ち落として
雨は死を抱いている
時々、優しい気持ちをかぐのは
凛とした花の死をはらむとき
私がいてよかったでしょうと
歌うように 雲も 雨も 温もりも
死も消えていく
戻る
編
削
Point
(5)