窓辺の風/faik
 
全く、窓辺の風よ
そうやあやあと声を張らず
少し黙っていられないのか

私の爪先ももちろんそうだが
なにより、カーテンが困っているよ
お前の冷やかな愛の歌が
彼女の心を惑わせているよ

彼女は生粋の箱入り娘
2DKの箱入り娘
ニトリの国の皇女様
世の外郭にいるようなお前が
関渉して良いお方ではない

知っているだろう 世の習いを
分かっているだろう 世の厳しさを

お前が一番 見てきたはずだろう
滅多に咲いた愛憎の上を
寒々と駆け抜けてきたお前なら
もう分かっているはずだろう
この世にロマンスなどないことを

いずれにせよお前と彼女に限って
ロミジ
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