ハミング爺さん/灰泥軽茶
 


なんだか楽しさ弾けてお爺さんは抑揚をつけはじめている

ハミングは小さな気泡のように

背中からうなじまで産毛を震わせ

武者震いが武者震いが絶え間なく続き

つむじからハミングの気泡が出ていくようで

コポコポコポゥと耳奥で反響し

たまらなく心地良い

と、

「うるせぇ爺さん」

向こうで怒鳴り声が聞こえ

電話はツゥーツゥーと

空白を打ちはじめた






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