ランディさんの本/木原東子
 
いつからだったか
ランディ、田口ランディさんが
自分に真面目に向き合う人だと思った

最近の本「私の愛した男たち」の帯に
あなたは最低、でも成長させてくれた
そう書いてある

いやべつにだからどうだってわけじゃない
「ぼくの愛した女たち」という本を
彼が書いたらどうなるんだろ?

小説みたいなごじゃごじゃは省くんだよ
彼の親父がめちゃくちゃだったわりには
戦後の若者はできればきちんと生きたかったし

貧乏でも誇りを持って童貞でいた
少女のように無邪気に
樋口一葉のように凛として
向日葵のように明るい
囁くように従順な
そんな女たちが回りにいた、彼を憎からず
[次のページ]
戻る   Point(10)