ランディさんの本/木原東子
いつからだったか
ランディ、田口ランディさんが
自分に真面目に向き合う人だと思った
最近の本「私の愛した男たち」の帯に
あなたは最低、でも成長させてくれた
そう書いてある
いやべつにだからどうだってわけじゃない
「ぼくの愛した女たち」という本を
彼が書いたらどうなるんだろ?
小説みたいなごじゃごじゃは省くんだよ
彼の親父がめちゃくちゃだったわりには
戦後の若者はできればきちんと生きたかったし
貧乏でも誇りを持って童貞でいた
少女のように無邪気に
樋口一葉のように凛として
向日葵のように明るい
囁くように従順な
そんな女たちが回りにいた、彼を憎からず
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