incidents/kaz.
 
懐かしい、という感情を呼び起こしてくれるもののすべて。寓意の火。あるいは、偶景でもよい。それらが、教えてくれる過去。言葉が、ぼくを潜り抜けてしまった。そこにはない、ただ誰も知らず、知ろうともしない。遥かな、と呼ぶことさえ、できないぐらいの、深い、断絶。その中にある一つの影が、放浪するぼくであること知るために、代えようのないものを捧げたのだろう。

光がぼくを焼き尽くす。輝くばかりの鋏が天から降り、言葉も、意味も、一瞬で裁断され、そこにあることを感ずることができない。理解できるのは、理解できないということだけだ。そのとき、捉えた不可能の感触は、どこかへ消滅してしまう。神経を伝って、ぼくの手の届か
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