草原色のクレヨン/灰泥軽茶
 
部屋で寝転がり
凹凸のある真白い壁紙をじぃっと眺めていたら
いてもたってもいられなくなり
クレヨン屋さんに走る

奥行きの広い店内には何百色ものクレヨンが
一色ずつ一本ずつ
天井まで透明な仕切りに入れられそびえている

ありったけの草原色のクレヨンを下さいと言い
わっしわっしと袋を握りしめ
スニーカーももう脱がずに
部屋に戻り床にクレヨンを広げ転がす

さあ真白い壁を草原色のクレヨンで
塗りつぶそ
力の限り塗りたくったら
窓を開けて

気持ちの良い心地の良い
風が吹くよ

塗りつぶされた草原色の壁に描かれた
ひとつひとつの線が一本ずつなびくよ


[次のページ]
戻る   Point(8)