狩るが故/一 二
焚き火を消さないのは
君がまだ眠らぬが故
先に眠るのは
君を信用しているが故
山で眠るのは
己の無力さを
知る為が故
彼方に飛び去って行く鳥を見送るは
見知らぬ土地の匂いだけでも
土産にして貰うが故
子連れの獣を狩らぬのは
自らが子供であるが故
猟師が獣を狩るのは
自然や伝統を守るが故
しかし根底にあるのは
自然に
獣に
そして己に
応えるが故
叫ぶ
「俺は無力である」と
獣は凄い
己の身一つで
素早い脚を
逞しい牙を
大樹の枝のような角を
研ぎ澄まされた目を
練り上げる
猟師は違う
殺める術も道具も掟も
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