言葉と時間/宮岡絵美
書類を見ていると 何か
忘れものをしているような気になってくる
言葉の海に眠る時間
私の思い出さない何かを
確実に彼らは知っているのだ
紙の上に印字されたメタ・メッセージが
私をひきつけるのは何故か
わからないままの深淵ではなく
それは自ら語り出す傷跡
光りだす前に
海に溶けてゆく航跡のように
追い求めることを予感している
世界中に散らばっているそれらが
ひとつになることを想像してみる
そんなことはありえないし
ひとつにならなくてもいいことだけれど
世界の深部で何かがはじけ
道になってゆく
必死でそれを追いかける
掴めないのは分かりきったこと
それでもやはり必然の行為として
人は追い求めることで
孤独から解放されることがある
それは確かに
我々が人類である証
http://www.eonet.ne.jp/〜tobeistodo/poemkotobatojikan.html
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