言葉と時間/宮岡絵美
 
書類を見ていると 何か
忘れものをしているような気になってくる
言葉の海に眠る時間
私の思い出さない何かを
確実に彼らは知っているのだ

紙の上に印字されたメタ・メッセージが
私をひきつけるのは何故か
わからないままの深淵ではなく
それは自ら語り出す傷跡
光りだす前に
海に溶けてゆく航跡のように
追い求めることを予感している

世界中に散らばっているそれらが
ひとつになることを想像してみる
そんなことはありえないし
ひとつにならなくてもいいことだけれど

世界の深部で何かがはじけ
道になってゆく
必死でそれを追いかける
掴めないのは分かりきったこと
それでもやはり必然の行為として

人は追い求めることで
孤独から解放されることがある
それは確かに
我々が人類である証


http://www.eonet.ne.jp/〜tobeistodo/poemkotobatojikan.html


戻る   Point(7)