コスモテクニカアクアリウム/否々
さむいのは苦手だから
言葉が浮遊して寒風にさらわれてゆくけれど
ほどけた靴ひもよりもきみの声の続きがききたいから
吐き気がするほどの鮮やかな春を待ちわびて
春が来たらゼリー状の鬱屈を吐き出すの
桜はとってもきれいね
わたしのほっぺとどっちがかわいい?
そんなことを考えながら
宇宙に浮かぶ水槽に飼われているわたしたちは遊離するクラゲと染色体に苛まれながら進化してゆく
遺伝子は紡がれておさげ髪の少女になる
触手からはなたれる電気信号に導かれておそるおそる手をのばす
はじめまして
きみ
とっておきのサープリスをきて
待っていてあげるから
眼球よりももっときれいなもの
あげる
きみは海でわたしは魚で
わたしは宇宙できみは深海魚
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