レモン畑/灰泥軽茶
無農薬だからと皮まで食べれるよと
レモンをひと齧り
皮は甘く果肉は突き抜けるような酸っぱさだ
こめかみの奥に木漏れ日がちらつく
でもやめられず懲りずに齧り続けていくと
急に顎がはずれて鍾乳洞
太古の滴が額を一滴ずつ一滴ずつ垂らして
脳の奥の空洞にこだましていく
ふと我にかえりあたりを見回し
手探りで歩いていると
ぼんやり先に見えてくる光
少し早足でそちらに向かっていくと
つるつるの床に足をとられてすってんしゃん
顎ががっくんと打ち鳴らせば
ここはどこだか太陽の光
こんなにも眩しい原色風景は
遠い国の匂いがするレモン畑だ
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