修身/いっと
 
正しなさい
修めなさい
誰が教えてくれたのか


一枚の紙片の前で
私は
何も知らなかったことに気付かされる
苦い沈黙を脳内で響かせる
出会った人、起こった出来事を並べ
正しさと欺瞞を手のひらの上で遊ばせる
指先から滑り落ちた私にさよならを告げても
手のひらの窪に残ったものは愛せない

愛が充満した室内で
満面の笑みを浮かべた君のことを
私は軽蔑した
汚れのない言葉で
彼らを騙しても
世界は手に入らないことを
君は知るべきだった
君への感情は冷めて
私は爪先で居場所を失くした

正義とは相対的なもの
嘘は咎められない

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