秋草日/蒼木りん
 
手でラベルが貼れるようになりたい

責められるのは嫌なものだしそんなことカッコ悪いしつまらない

私はちいさな傷に気づいてもそれを痛いと責めたくない睨みたくない

「髪きれいですね」

40男の美容師が囁く

三人ともあんまり仲良くない美容院

私は髪きれいになって明日課長に微笑む

満月頂点で2分の一光る海を見に行きたい

東京駅で逢える夜ひとりにしないで

何故あなただけ先に行くの愛人を友人に自慢したいの

風邪薬飲んだのに喉痛い頭痛い目が潤む

胸の苦しさだけは治まったもうしばらくは生きられる

私はまだ東京に行くと言い出せないでいる

東京でイベントないですか

あなたの絵気に入ったら樋口一葉で買います額付けてください

窓を開けて秋の草が枯れてゆきますまだ息をしていました

その息が私の身体を治してくれるようでした

今日は朝からいい日でしたありがとう

すべて枯れる日には冬

風も無く降る雪が好きです




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