今と未来/凪 ちひろ
 
肌の具合がよろしくない
節約の名のもとけちられた 安い化粧水のためか
二十代も後半の衰えのためか
鏡をのぞくと気が焦る
わたしは後 どれだけのことができるだろうと

前だけ見て 今を満喫しない生き方は
ときに滑稽に見えるだろう
けれども子どものときから身に付いてしまったこの癖は
無理に今だけを楽しもうとすると
ゆるゆると胸を 不安でしめつけていくのだ

心の中にある悪感情を 不安を 熱を
ごまかすことはできない
いつも真っ直ぐに
ただじっと見つめる
そうすると 自分の進むべき道が
おぼろげながらも見えてくる

わたしはこれからも苦しむだろう
おそらく満たされない時の方が多いだろう
それでも蓋をしてしまうことの方が
余程今より辛いのだ
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