ウブゴヱ/望月 ゆき
 
り、いつまでも終わらない。
 ひとはどこまでも、そしてずっと前から、未完だったのだから。

 抽斗に残された五線紙に耳をすますと、聴こえないはずの遺言が、聴こえてくる。
 限りある生を、歌いつづけるためにわたしは、しばしば海と交合し、日々を孕(はら)む。
 朝になると産み落としては、それを今日と名づけ、性懲りもなくまた、育んでしまう。







『詩と思想』新人賞応募作品(十二月号掲載)


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