ウブゴヱ/
望月 ゆき
り、いつまでも終わらない。
ひとはどこまでも、そしてずっと前から、未完だったのだから。
抽斗に残された五線紙に耳をすますと、聴こえないはずの遺言が、聴こえてくる。
限りある生を、歌いつづけるためにわたしは、しばしば海と交合し、日々を孕(はら)む。
朝になると産み落としては、それを今日と名づけ、性懲りもなくまた、育んでしまう。
}
『詩と思想』新人賞応募作品(十二月号掲載)
戻る
編
削
Point
(11)