絵筆/加藤
 
画用紙に描くと 広がっていく
すべるような混ざるような微妙な線を何度も

分かるという事は大したことじゃない
引くたびに色づく線を 頭に教えた

鮮やかな空を描いた
きらめく星も描いた
見ることのできない景色や物が
うそみたいに描かれる

さらさらとこぼれる
そんな陽ざしを静かに見つめていた昼下がり
転がった筆から絵の具の匂いがふっとした
そういう感じの一日を
今でもまだ思い出す時があります
今では見るものも変わってしまった
あの日に似ているような違う夢を見ているから
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