お面/砂木
 
嫁いで どれくらいたった時からだろう
実家の両親が 他家の者として私に接し
夫の両親も 嫁として私と接した

血族でも 他家の者になった私は
実家の事には 深く口を出さず
それが お互いのためだと教えられた

家を出た者が実家にいろいろ言って
内輪もめする話も聞く
力は貸しあっても 他人という距離感は
必要な事なのだと 私にも思えた

しかし 実は寂しかった
子供の頃は親と喧嘩もしたが
言いたいことを言っているようで
他家の者として 言えない事も多くなり
嫁いでからは 喧嘩にならない
他家の嫁 として親も抑える
必要な距離感だと思ってもどこか虚しい

そん
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