かなしみ/rabbitfighter
 
そしてかなしみがやってくる。
前触れもなく突然に。
雨のように。
突然の雨のように。
前触れもなくやってくる。
かなしみは僕の街を濡らしてしまう。
アスファルトを黒く染める。
人々は手のひらを上に向け、
それから傘を開く。
傘はどれも暗い色をしている。
頂点から放射状に外縁を目指す。
遠くを行くものの動きはゆっくりに見える。
僕の心は首都高環状線を逆時計回りに疾走する。
あなたは時計回りに進むだろう。
ちょうど一瞬先を追いかける時計の針のように。
そのとき精神は放射線上を飛散する。
それらすべてをかなしみが濡らしてしまう。
あなた
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