狐の嫁入り/冬野 凪
 
海豚の背に乗つてゐるのはありやなんだ


海豚を視姦せよと神の啓示


冬の虹途切れ途切れの殺意かな


理知的なナマコの眼が選り好みしてゐる


象牙欲しいなと子どもがねだり二日月


気になるのセーターの毛玉数へ出す


遂にこの谷間に闇が押し寄せる


穴あきのパンツから春がしやしやりでた


指の長いひとでしたなめくぢの這ふやうな


こんにやくのやうなひとになれと父は云つたか


毛玉の数数へても妻子は帰つて来ない


受難だねお金の運命に涙する


魚魚口いつぱいの「罪と罰」


口開けてけふも取り出す「日刊
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