正月の空気/木原東子
 

お正月、
特別なその日をくぐる
肩上げの晴れの着物に赤いりぼん
門松は凛々しく

遊び仲間はおすましして
行ったり来たり
どのお正月も晴れていたような
追い羽根の檜扇の実は
音高く響いた


成人したというお正月
華々しく車を連ね
振り袖姿晴れがましく
一族が故郷に集った

お世辞などもいわれたりして
実に美味なるお料理を
食べたが排泄物が
出てこない

恥ずかしがりの乙女ゆえ
なんにちも秘かに悩んだ
浮かぬ顔を不審がられる
思いもかけず待ち伏せされた
恐怖の晴れ着


末っ子が隣りで大きい
母は反対側で遅い
春日神社の石段暗
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