十八歳の犬/榊 慧
か集中力が続く環境がない。狭い家には自分の部屋はない。テレビの音から何もかもが響いてくる、狭い小さな家だ。小学校のとき、集団登校の集団に家の前でじっと俺が出てくるのを待たれたことがある。俺の住んでいる家が「めっちゃぼろい小さい家から出てくるやつがおる。」という理由で。下校時も似たようなことがあった。そんなことはどうでもいいのだけど俺は集中できないことに小学生の時も十七歳の時も困っていた。人がいるのが駄目らしい。今日十八歳になったらしい。
むかしの散文も今の散文もさして変化などしていない。死にたいがとれなくて困っているだけの散文。人間関係は多少変わった。それだけだ。簡単に死ねそうだと思っていることも変わらない。倉庫は更地になったあとしばらく放っておかれていたが今家が建とうとしている。更地が無くなってしまうことが悲しい。
十八歳、すぐきてしまった。俺は「理解」のことをよく知らない。きっとどうでもいいものだ。ゲーテは怖くて読めないまま、中身のないまま、
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