枝先/まーつん
自転車の ペダルを漕ぐ
すると世界も 一緒に回りだす
夕暮れの街並みは
河川敷の 向こう側
なだらかに傾いた 地平線に震えて
ゆっくりと 夜に向かって 滑り落ちていく
泉を横目に 通り過ぎる
水鏡のゆらめきに 引き伸ばされた陽光が
風の指先に弾かれて 無数の弦のように 震えている
小高い丘に たどり着く
頂に立ち尽くす 一本の樫の樹
冬の寒さに身を縮める 痩せた下生えに
キックスタンドを立てて 鉄のロバを休ませる
汗ばんだ背中を 老いた幹にあずけて 足を投げ出す
満ち潮のように 街を沈めていく
日没の 影のさざ波
僕は自分を 抱きしめる
震えな
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