年の瀬/灰泥軽茶
 
いつもこんな具合に過ぎていく年の瀬

露天に並ぶ裸電球は飴色をしていて

なんだか同じような毎日と風景が

経た年月とともに霞んでいく

空き地でいそいそと

木のはぜる音と燃える火の粉が舞って

消えていくと

静かな空気が流れ

人の流れが柔らかくスローモーションになっていく

伽藍とした道路を気持ちよくすいすい進んでいくと

コンビニの明るさだけがいつもの手拍子を叩いており

とくになんの変わり映えもしない毎日だが

吸い込む空気は確かな真新しい生命であり

吐き出す空気も確かな真新しい生命である





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