小説/葉leaf
 
 この金糸雀は殺して妻の墓に埋めてもようございましょうね。奥さん。
 でなければ、私は奥さんのような女の方の前では、きっと目をそむけるか、うつむいていたでしょう。人生の半分を見ないようにしていてくれたのです。妻は私に生活の苦しみをすっかり忘れさせていてくれたのです。妻がいてくれたからではないでしょうか。なぜ私は奥さんのような方に恋が出来たのでしょう。また思い出ばかりではありません。ですから奥さん、私はこの金糸雀を妻に殉死させたいのです。奥さんの思い出として――。妻がいてくれたので金糸雀は今日まで生きていたのでした。重ねて申します。
 それに、もうお忘れになっているかもしれない金糸雀なぞは御迷惑
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