くすり/榊 慧
蛍光色
に
近い色合いの、液体
を飲む。
島と海
国
錠剤。
食べ過ぎたおれ
は死ぬ
こと
を
せん妄し、
雑巾
を絞る。
壁を拭く。
硝子障子
を
なでる。
地球儀が一人
また二人、
三人、
増えはしない。
一人、
が、
措かれている
何も
なつかしくなどは無かった。
刺繍
で
描かれ
た。
「世界は」
「刺繍」
「で、」
「描かれ」
「ました」
雨の中に。
影は消えた
もとより無かった
本当に謝った
すばらしい楽器であった
船灯は暗さをあらわすように今も光っている、
日が透けた、
コンサータは噛み砕いては
「行けません」。
「おれは」
「おれは」
甘すぎた。
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