あるいは花言葉/
渡邉建志
の足にそれを括り付け, 鳩は夕暮れの中へ飛び立
っていく. 手紙は薔薇色の空に浸されいつか, 花になる
だろう. 彼女の手は自由な魂となり, 踊りだすだろう,
回りだすだろう. それはあるいは君の花言葉だ.
しかしそれらもいつか押し黙りもとの深淵へと沈んで
いく. 僕はもう一度曇ったガラスの箱を覗き込むだろう.
金色の魚はいまだに断片をすこしずつ語っている―
(遠くで踊られるワルツ)
(剣の音!)
(笑い声―)
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