ホイッスル/umineko
たとえば
主審の吹くホイッスル
スタジアムは
興奮のるつぼ
たとえば
ラジオの玉音放送は
長い長い
嘘の終わりだ
春が来て
木々の小枝に
新たな希望の灯る時
神様
あなたの吹いたホイッスル
海が途絶え
街が消える
ただひとつ
わかったことは
春が来て
夏が来ても
私たちは生きていく
ホイッスル
ゲームセットで
何度でも
ゼロになって
勝者のいない
暗い夜道を
ひとり
歩いてゆくとしたなら
絶望に
灯をともし
明日の
見えない砂利道を
神様
あなたが気まぐれに
幾たび笛を吹いたとしても
私たちは生きていく
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