ゆきのそら/ささやま ひろ
僕は雪に魅せられる
とても切ないから
どんなに大切に受け止めても
一瞬にして消えてしまう
大事にしようと思う間もなく
手の中で静かに消える
でも一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
その美しさに僕は心奪われる
刹那に消えてしまうけど
そこにある確かなものなのに
決してとどまらず
そこにあって輝いてるのに
決して手が届かない
信じること
信じてもらうこと
愛とか恋とか
友情とか愛情とか
雪のようなものだと思ってた
そこに見えるのに
決して手に入らないもの
手を差し出したら
残像のようにすり抜けてゆく
僕は雪に魅せられる
それはとても切ないか
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