虹は端から消えてゆく/朧月
母は私のものをみる癖があった
ハガキであれ手紙であれ
手帳であれそれは母が読んでいた
それなのに私はそのことになんら
警戒も注意もしなかった
今私がこうして
詩のような綴りを
だれでもの目の前に晒して
普通の顔で流れていられるのも
そういうところにあるのかもしれない
花が川のすぐそばに咲き
大雨にいともたやすく流され
またそれよりもぎりぎりの場所へ
咲くのをぼんやりみていた
知っていたのかもしれない
あらがうことの無意味さを
生まれたことがすでに無意識ではじまり
続くものであったから
なぜ今息が苦しいの
なにに抵抗してるの
大事なものはどうして
すぐにかたちを変えるの?
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