やわらかなこえ/
佐藤章子
半身を傾けて右足の声を聞きながら
私は君が勧める歌を口ずさむよ
壁は乾いた笑いをむけ
白に囲まれた暖色の夜を待ち
私の青色が足りなくなれば
風をなでる横顔を
塗りつけておくように
人差し指にうつむいた雨を潜め
今日も階段を昇ろうという
明け方のため息にかさねて
粒子の元へ沈んでゆくのなら
君へのおやすみは忘れずに
薄く濁るうなじに額をおしつけたくて
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