飛行機から、いま/宮岡絵美
空が飛ぶ
飛んで燃え広がっている
白い夕陽
幾つにも降り積もった雲の波はどこまでも続いている
生き物の影は見えない
分厚いガラス越しに呟きかける
姿の見えぬ渡り鳥にあこがれるように何度も何度も
何処の国の言葉なのだろう
私は知っている
そして知らない
貴方は知っていますか
会いたいのだ、力強く打ち上がるロケットのように
深く繋がり
今にも始まりそうな、このとき
遥かに月の群れが呼んでいる
呼んでいるから出かけよう
待つ人もいない その地平線から出発する
踏みしめる足下には深く広がる世界観
遠く 遠くまで
地脈のように大きく波打って
私の一部も弾む月になる
一人で在りたいという限りない欲望と
一人では生きることができないという
ささやかな自己満足をふいにした私の月達と
笑いさざめくような時間は過去の彼方
ため息をひとつ吐いて
毛布にもぐりこむ
目的地にはまだ何時間もある
http://www.eonet.ne.jp/〜tobeistodo/hikoukipoem.html
戻る 編 削 Point(4)