夜に寄せる/野中奈都
 
指先をしんじる夜に降ってくるアルファベットの雪はすぐ溶け

藍染の布をわたしは首に巻き 宇宙にかえる準備を終える

キッチンで味噌を溶きだす母がいてしんだばかりの父がわらって

街角でうまく立ちどまれないまま どこかへ向かうふりをしながら

いきている錯覚をする何度でも みあげる夜に北十字星

神様のすべてを解いた夢のなか 消しさるように小鳥のないた

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