大いなる野望 2011年版/salco
 
 テーマ1   台風15号

 地上を泳いでいるこんな日は、淡水魚の渓流での苦労がよくわかるというものだ。
 尚も傘は無効なのに、長刀(なぎなた)の如く構える人が圧倒多数なのは、濡れを厭う温血動物の本能ゆえだ。 
 
 体温の死守
 
 こうして人間は嵐の中の野性動物である。
 ただ、傘を放棄しずぶ濡れで歩く人は、潔くはあれ、そのヤケクソは大方ワイルドな気質によるの
 ではない。単に諦めが早いのだ。これを占い師は、短気とも淡白とも颯爽とも呼び分ける。

 傘は視界の確保でもある。
 涙と成分が異なる雨水が目に入ると、刺激で開けていられない。大気中の汚れをたっぷり含んで
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