山の展望台から/灰泥軽茶
遠くの空に沈む夕日に照らされて
街を囲む山々は黒いマントをひるがえし
夜の闇を呼び寄せている
マントの波打つ上を
いくつもの小さな鉄塔が
わいわい
ぴょんぴょん跳ねて
夕暮れの美しい波を楽しそうに遊んでいる
ひっそりとした空気に耳を澄ましていると
遠くの空から小さな声が
さわさわと寄せるように聞こえてくる
ほっほっえっほらほっ
でんきのちからにゃかなわない
ほっちらほっぷ
おひさまさよなら
ほっちらちらちら
かみなりさまとほっぴんぐ
ほっほっえっほらほっ
そろそろ夜だよおかえりなさい
ほっちらほっぷ
あかりをほぅらてらしてあげる
ほっちらほっちら
またあした
光の波に照らされて私は山を下りていく
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