『金魚王国の崩壊』を読んでいると/kaz.
。実に、私たちは同じようにして、生き物の死体を人々に売り付ける。生き物から食べられる部分を取り去って、加工して、それで食品として市場に出回るようにするのだ。
腕をもぎ取って同じ目に遭わせようとするミカゼは、もちろん行きすぎである。普段何気なく生き物を殺している私たちが、相互性でもって彼らの痛みを味わうとすれば、とても耐えられるものではない。だが、ミカゼの動機はあまりにも純粋だ。バッタが、本当に痛みを味わったのかどうか、私には分からない。同じ痛みを分かちあうことはできない。そこにある感覚の他者性は永遠に解決できない。
それでも、たとえ相手の痛みを味わうことができなかったとしても、「相手が
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