『金魚王国の崩壊』を読んでいると/kaz.
『金魚王国の崩壊』を読んでいると、途中から胸を掻き毟られるような感覚が襲ってくる。ミカゼが生き物を思いやり、救ってやりたいという気持ちが非常によく伝わってくるのだ。私もかつてはそうだった。今となっては、そうした気持ちは日常生活を営む上で不要なものであるから、己が政治的振る舞いによって誤魔化そうとしてはいる。それでも、こうした感覚は、忘れかけてはいるが、消えてはいないのだ。
手足をもがれたバッタを買い取ってくれたのをいいことに、もっと沢山のバッタを捕まえて手足をもぎとり、それをミカゼに売りつけようとするのは、明らかに行きすぎに思える。だが、この少年の考えたことは、ごく合理的な判断にすぎない。実
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