燃える島/山人
夜の海をゆらゆらと私は舟を漕いでいた
天球の子宮のような空間
おだやかな潮の香りがおびただしい生を封じ込めている
櫂の力を緩めると島が見える
オレンジ色のひかりを放ち島がゆらめいている
火の粉がときおり闇にのび上がり黒い海面と漆黒の闇の中で
島は豊かに光っていた
波打ち際の静かな海岸
かぞえきれない蟹が砂地を徘徊している
いつのまにか蟹の上を私は歩き蟹に運ばれるように島に入っていく
島民はみな若い人で溢れている
椰子で組まれたやぐらの上で幾人かが叫んでいる
島の上空に星が瞬き静かにひかっていた
透明な瞳と透き通った頭蓋があり脳が燃え出している
焼け焦げて死んでしまった人
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