零時皆既月食/灰泥軽茶
真夜中自転車を走らせ
小さな橋の上から
欄干に身体を預けのけ反る
晴れた夜空のてっぺんに
仄かに橙月がぶらさがる
雲ひとつなく銀河の河から流れる
ホシボシの瞬きは淀みなく美しい
だからなのか
ぽてりとぶらさがる
ぷらすちっくのおもちゃみたいな月は
親指と人差し指でつまめちゃいそうだ
と
流れ星がひゅぃっひゅぃっと
空に
この速さでとべばきっととべるよ
と一瞬と一瞬を足したような
希望を描いて消えた
そうしているうちに
ちらりほらりと
いつものお月さまが顔を出してきた
あぁとても眩しくて綺麗だなぁ
生まれ変わったような心地だよ
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