十二月の童話/salco
 
 半魚人


その海には半魚人がおりました。
彼は生まれた時からひとりぼっちでした。
生物学的にあり得ない以前に
遺伝学的にあり得なかったので
地球広しと言えども、同類がなかったのです。

こうして人間の作り上げたファンタジーにより
生を享けた中間種であるため
水陸両方で生活することができましたが
そのどちらにも安住できぬ
両生類として生き続けなければなりません。

えらが無いため半時ほどしか海中にいられず
肺呼吸にいちいち浮上しなければなりません。
加えて
体の構造も半端なものですから推力が足らず
肺魚や鯨のようには素早い潜水ができません。
ですから

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