満月/
灰泥軽茶
雲がゆっくり流れて
いつもより大きな満月が
空に浮かんでいる
淡い光で染まる心は
柔らかく膨らんでいき
空に浮かんでいる
こころなしか風があたたかいのは
生きているものがすべて起きてきて
月を眺めているからなのかな
こんなに明るい電気に囲まれて生活しているのに
晴れた満月の夜には
色んなものがくっきりと輪郭を持ちはじめ
小さな虫や雑草たち
用もない看板や錆び付いた缶からやらまでも
生命を解き放つ
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