ウラジミール・ズレリンコフ/salco
 
ル・ズレリンコフ
はそうして黒海まで出た四十歳
肌はボロボロ、目が見えない
モスクワで買った虫めがねを杖に
ずれを探して歩いている
喜び悲しみ憤り、あこがれ寂しさ愛の夢
誰もが抱いてずれ行くものを
ウラジミール・ズレリンコフ
はさまよう影のようで、もう何歳?
体はボロボロ、すれて曇った虫めがね
ずれを容れない人々の中を今日も
人とのずれを容れられずに今日も
たった一人でずっと行く
誰もがずれているのを見ないまま
ウラジミール・ズレリンコフ
はバナナの皮で滑りつづける
陽炎のよう
はトマトの唄を歌いつづける
流民のよう
はりんごの中を尋ねつづける
蟻んこのよう

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