8グラム/餅ヴィシャス
あの厳しい師匠の指導力に脱帽せずにはいられなかった
東京ドームで激しく鳴り響く「師匠コール」のイメージで
俺は師匠を褒めたたえる
厨房で
一人で
師匠に腕の上達を認められた俺は
お客様にうどんをお出しすることを許された
この程度で天狗になる、というのは恥ずかしいが
ちょっとした気のゆるみから
「乳首」を入れたままうどんに仕上げてしまい
たまたま極度の蕎麦アレルギーだった極道の親分が
救急車で運ばれていった。
救急車の後を追うフルスモークのベンツの台数を見た俺の顔色は
うどんより白かったぜ
師匠は、すぐさまそのうどんをすすり、
「・・・蕎麦・・8グラム・・
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