河川敷/mad.rabby
夕焼け空を見て「時をかける少女みたいに、飛び込んだらあの日に帰れるかなぁ」って微笑んだ三浦さんは、握ってた携帯のバイブを無視してそのまま川に投げ捨てた。
大阪土産のたこ焼きを被ったキティーちゃをのストラップが、放物線を描いて川に飛び込んで行くのをぼくはただ黙ってみてた。
三浦さんがぎゅっと拳を握ったのが、ぎゅっと閉じた瞼から顔を出した水が、見えた気がしたけど気づかないふりして、ぽちゃんという呆気ない音に静かに耳をすませた。
小さいころ果てしなく見えた空や、川や、道や、街が、今見れば数十分で移動できる狭い街だ。ぜんぶが新鮮に見えた花や、虫や、ビルや、街は、今は古臭く鬱陶しいだけの存在
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